モリンガは栄養価の高さに加えて、手軽に取り入れられることや環境面で優れていることなどで世界中から注目を集めています。本記事では、モリンガがスーパーフードとして注目される理由や、モリンガの栄養価や注目されているポイントをモリンガの長い歴史背景と栄養素にも触れながら解説しています。

「奇跡の木」や「万能の木」などと呼ばれる「モリンガ」をご存じでしょうか。

世界的に有名なファッションモデルが、モリンガを愛飲していることで日本でも話題になったスーパーフードです。

モリンガは栄養価の高さに加えて、手軽に取り入れられることや環境面で優れていることなどで世界中から注目を集めています。モリンガの持つ効能はまだ研究段階であり、今後も多くの可能性を秘めているスーパーフードです。

モリンガという言葉は耳にしたことはあるものの、どのような植物なのか、具体的になにが魅力なのか、わからないという方は多いのではないでしょうか。

本記事ではモリンガについて、なぜ最新のスーパーフードとして注目されているのか、歴史背景も交えながら解説します。

世界のスーパーフード「モリンガ」とは?

モリンガは、インド北部原産のワサビノキ科ワサビノキ属の樹木です。現在では東南アジア・アフリカ大陸・アラビア半島などでも広く分布しており、日本国内でも沖縄本島や宮古島、石垣島などで栽培されています。

数年で高さ3m〜10mに達し、幹の直径は10cm〜30cmにもなるため、成長スピードが早い点も特徴です。学名は「Moringa oleifera Lamarck」で、「油を有する」という意味のラテン語に由来するといわれています。

和名は「ワサビノキ」という名称で、日本ではモリンガという名前で認知が高まりつつありますが、実は国によって呼び方が異なります。たとえばサヤの形状から「ドラムスティックツリー」、種子から油が採れることから「ベンオイルツリー」など、各国で呼ばれ方はさまざまです。

スーパーフードと呼ばれるモリンガのルーツはインドのアーユルヴェーダ

モリンガは現在、最新のスーパーフードという認知が高まっていますが、実は古くからある歴史の長い樹木です。モリンガの原産国では、数千年も前から健康に良いものとして「奇跡の木」や「万能の木」などと呼ばれ、民間療法に取り入れられていました。

代表的なものとして、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」が挙げられます。古代インドで発祥したアーユルヴェーダは、誕生から5000年の歳月を経て伝承されてきている伝統医学です。アーユルヴェーダでは、モリンガには300もの病気の予防が期待できるとされ、メディカルハーブとして重宝されてきました。

モリンガを用いた伝統的な治療方法は現代に至るまで支持され、近年の研究では、さまざまな効果が実証実験によって証明されつつあります。

モリンガが最新のスーパーフードとして注目される3つの理由

モリンガは昔から多くの人々に親しまれてきた植物ですが、なぜ現代で注目されているのか疑問に思うかもしれません。注目される理由は、以下の3つが挙げられます。

・手軽に栄養を補える
・ほとんどの部分が食用になる
・地球環境に優しい

上記の理由について、一つずつ解説します。

手軽に栄養を補える

モリンガの多くは粉末状になっているため普段の食事に取り入れやすく、さらに現代の日本人に不足しがちな栄養素を補うことが可能です。

共働きや育児などで忙しい現代人は、料理に多くの時間を割けず、ファストフードやレトルト食品などに頼る機会が増えている傾向にあります。すぐに食べられる食品は添加物や化学物質が含まれていることが多いため、しっかり食べているにもかかわらず十分な栄養素が摂れていないケースが少なくありません。

そのため手軽かつ必要な栄養素を効率良く摂れるモリンガは、多忙な現代の日本人の味方になるスーパーフードとして、関心を持たれるようになったといえます。

ほとんどの部分が食用になる

モリンガは葉・根・花・種まで、ほとんどの部分が食べられる点が魅力です。モリンガのなかでも、葉の部分はもっとも栄養が豊富で、ポピュラーに利用されています。

モリンガは粉末状で売られていることが多く、お茶として飲まれる機会が多いようです。お茶以外にもお菓子やパンの材料として使われたり、野菜感覚でサラダや炒め物などに入れて調理したりなど、さまざまな用途で活用されています。またヨーグルトにかけたり、スープにモリンガパウダーを加えたりなど、日常生活に気軽に取り入れやすいところがポイントです。

独特の強い香りを放つモリンガの根の部分は、スパイシーな調味料として活用されています。

モリンガの種はナッツとして食べられるだけでなく、搾油することも可能です。モリンガから搾油されるオイルには、体の酸化を防止し、細胞の老化を抑えてくれる効果が期待できるオレイン酸が多く含まれています。食用に限らず、保湿油としてスキンケアやヘアケア、クリームなどに活用するといった方法もあります。

そのためモリンガは、葉・根・花・種まで捨てるところなく、あらゆる面で人々の役に立つ優秀な植物です。

地球環境に優しい

モリンガは一般的な緑葉樹の20倍以上といわれる二酸化炭素吸収能力を持つことから、地球環境保護の観点でも注目されています。

世界で取り組まれている「SDGs(持続可能な開発目標)」の目標の一つに、「13 CLIMATE ACTION(気候変動に具体的な対策を)」があります。「気候変動に具体的な対策を」とは、具体的には地球温暖化防止に向けた取り組みを指すものです。

地球温暖化を防ぐためには、大きな原因の一つである二酸化炭素の削減が欠かせません。そこで二酸化炭素の削減樹木として、積極的にモリンガを栽培する国が増えています。

そのためモリンガはカーボンニュートラル実現の可能性も秘めており、現代社会に希望をもたらす樹木として関心が高まっています。

国連専門機関も認めるモリンガの高い栄養価

モリンガには、さまざまな栄養素が90種類以上も含まれているといわれており、地球上でもっとも栄養価が高い植物と称されるほどです。主な栄養素として以下の7つが挙げられます。

・必須アミノ酸類
・鉄
・カリウム
・ミネラル
・ビタミン類
・マグネシウム
・食物繊維

とくに現代の日本人に足りていない栄養素は、カルシウムや鉄、食物繊維、カリウム、マグネシウムなどです。モリンガ一つでこれらの必要な栄養を補えるだけでなく、簡単な方法で摂取できる点も忙しい日本人にぴったりといえます。

また、たった一つの素材であるにもかかわらず、幅広い栄養素をカバーしていることから、国連専門機関の一つであるFAO(国際連合食糧農業機関)やNGO団体からも熱い注目を浴びています。

食糧事情や経済情勢が悪く、貧困問題が深刻なアフリカでは、飢餓や栄養失調に苦しむ子どもを中心にモリンガを通じた食糧支援も実施されています。

モリンガで手軽に栄養を取り入れよう

モリンガは豊富な栄養素に加えて、手軽に摂取できる点で利便性にも優れているスーパーフードです。また優秀な二酸化炭素吸収能力を持っているところも、世界中で取り組まれているSDGsの目標の一つにも合致しており、現代に欠かせない樹木であるともいえます。

日本人にとっては最新の食品として認識されているモリンガですが、インドをはじめとする各国では数千年以上も前からなじみ深い植物であり、さまざま手段を用いて食されてきました。生活様式や食生活の変化により、栄養を十分に摂ることが難しくなった現代において、脈々と受け継がれてきたモリンガが改めて注目を浴び、現在も数々の研究が進んでいます。

研究のなかには、可能性を感じられる研究結果も多く発表されており、今後もさまざまな効能が期待される植物として広まっていくことが予想されるでしょう。

人にも地球にも優しいモリンガを、ぜひ生活の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。