モリンガ以外にも「奇跡の木」と呼ばれた植物はありましたが、呼ばれ続けることはありませんでした。しかしモリンガは数年、数十年経っても奇跡の木と呼ばれ続けています。その理由を考察してみましょう。
奇跡の木としての市民権
なぜモリンガは「奇跡の木」という名前がつけられているかご存知でしょうか。
そもそも「奇跡の~」という名前は何にでもつけられるものではありませんし、その名前がついていると効果効能に過剰な期待を寄せてしまいます。そのため一度そう名付けられたとしても、よほどでない限り呼ばれ続けることはないはずです。
実際モリンガ以外にも「奇跡の木」と呼ばれた植物はありましたが、定着することはありませんでした。しかしモリンガは数年、数十年経っても奇跡の木と呼ばれ続けています。
モリンガは、全ての部分を使うことが出来る
モリンガはその木の全ての部分を栄養食品、薬剤、または他の用途に使うことができるため奇跡の木と呼ばれています。また成長が早く、耐乾性があるという長所もあります。
今日では、「奇跡の木」はモリンガの代名詞として使われているくらいです。
「奇跡の木」と呼ばれた植物たちの歴史
モリンガ以外に「奇跡の木」を冠した植物は、以下のようなものが挙げられます。
ユーカリ
1988年に、「ナパ郡のユーカリ種における7年間の成果」という記事がカリフォルニアの農業誌に出ました。記事にはユーカリは1900年初めに「奇跡の木」と言われていたと述べられています。
ユーカリは、カルフォルニアの木質繊維供給の問題を解決する木だといわれていました。そして製材、線路の枕木や鉱業用の材木として使うために植えられましたが、そのときは「収縮しすぎる」というユーカリの性質が知られていませんでした。
カリフォルニアで育てたユーカリが収縮しやすく、ゆがみやすいことが判明すると製材や枕木、鉱業用として使われなくなりました。そしてユーカリは「奇跡の木」と称されなくなりました。
ギンネム
1978年に、フィリピンのヒュー・カランがギンネムを「最高に素晴らしい奇跡の木」と名付けました。ギンネムは奇跡の木、または千の利用方法がある木としても知られていました。
その名前を疑問視した科学技術局のマイケル・D・ベンジが1982年に「奇跡の木:現実か神話か?」という記事を書き、次のように述べています。
飼料やまき、柱や堆肥などとしての活用方法があることにより、成長も早く窒素固定力のあるギンネムは、ここ数十年の間でたくさんの調査の対象なってきました。
しかしベンジはギンネムが奇跡の木である理由について説得力のある説明ができず、今日ではギンネムと聞いて奇跡の木という名前を連想する人は誰もいません。
ニーム
1983年、インドの生物燃料エネルギーに関する専門誌に、「ニーム:インドのエネルギー需要に応える奇跡の木」というタイトルの記事が発表されました。
ニームは確かにニームから出る油を自然の殺虫剤として利用するなど、様々な利用方法がある木ですが、「奇跡の木」という名前は定着しませんでした。
その他
フィリピンで1960年代に「奇跡の木」とよばれたラブラなど、過去に様々な木が「奇跡の木」と名付けられました。しかしそのうちのどれも長きにわたって呼ばれ続け、定着することはありませんでした。
モリンガ:奇跡の木
それではモリンガはなぜ「奇跡の木」と呼ばれるようになったのでしょうか?そしてなぜ30年以上も「奇跡の木」と呼ばれ続けているのでしょうか。
マーティン・プライス博士
モリンガに「奇跡の木」と初めて名付けたのはマーティン・プライス博士でそれは1985年のことでした。博士はECHOと呼ばれる飢餓を救うための教育事業をしている非営利組織の共同創立者です。彼は1981年に訪れたハイチの児童養護施設で初めてモリンガを知り、モリンガの効果に感動し、以後モリンガについて人々に広めるようになりました。
1985年に、プライス博士は「モリンガ:奇跡の木」という記事を発表しました。この記事では、モリンガを摂取することによって得られる効果についてがたくさん書かれています。
ローウェル・ヒューグリー
ヒューグリー氏は、セネガルにある世界教会サービスで貧困者と栄養失調者に奉仕していました。そこでモリンガを利用し、その効果を実感したヒューグリー氏は、栄養失調や様々な病気がモリンガで改善したという事例を書き始めました。
そして1989年にセネガルから「モリンガ:熱帯地域に住む人のための自然の栄養素、奇跡の木」という記事を発表しました。
このヒューグリー氏の記事は、プライス博士が発表した記事の次にモリンガを「奇跡の木」と呼んだものでした。
12年後まで話を進め、2001年にヒューグリー氏はモリンガに関する172ページにもなる本を出版しました。本のタイトルは、「奇跡の木:モリンガの様々な特質」です。
モリンガを「奇跡の木」と言及している論文数の推移
今日までモリンガはこの「奇跡の木」という名前で呼ばれ続けています。さらに「奇跡の木」としての認知度も上がってきています。
実際にGoogle Scholarでモリンガについてを「奇跡の木」という言葉を使って説明している論文を検索すると、以下のようなことが分かりました。
モリンガについて「奇跡の木」と言及している論文数は、以下のように推移しています。
1981年 ~ 19990年 2本
1991年 ~ 2000年 0本
2000年 ~ 2010年 179本
2010年 ~ 2019年 1,930本
定着するまでに15年かかったものの、それ以降もモリンガに「奇跡の木」という名前が使われ続けているということがわかります。
30年以上「奇跡の木」と呼ばれ続けているモリンガ
100年後もモリンガが「奇跡の木」と呼ばれているかは分かりません。ただ少なくともここ30年間「奇跡の木」と呼ばれ続けています。
モリンガは多くの人々に知られるようになってからも、「奇跡の木」と呼ばれ続けるくらい素晴らしいスーパーフードであることが「奇跡の木」の歴史を通して分かりました。あなたもこの「奇跡の木」モリンガを試してみませんか?
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